電力のデジタルトランスフォーメーションDXとP2P取引
電力システム改革の真っ最中ですが、2019年は卒FIT(※1)元年でもあり、
業界では電力のプロシューマ―(※2)化、電力のデジタルトランスフォーメーション
(DX)の進展による新たな事業モデルも期待されています。
先日、資源エネルギー庁配下の経済産業省にて審議会が開催され、
現在の計量法(※3)との考え方、送配電網の利用、スマートメーターによる
電力の使用情報の活用について議論されています。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/denryoku_platform/007.html
個人的には非常に有望な分野だと思いますが、日本の大手電力含め、海外でも
まだまだ、これといった事業モデルの構想が出てきていない状況かと思います。
※1:卒FIT・・・太陽光発電等の再生可能エネルギーのFIT制度の20年間の
買取期間が終了すること。20年間の買取期間が終了した後は、
新たに買取先の特定と必要な手続きが生じます。
※2:プロシューマ―・・・精算消費者のこと。自宅に太陽光発電設備を
設置した家庭は、太陽光で賄えない電気は送配電網から電気を購入しますが、
日中太陽光で発電した電気で余剰が生じた分は電力会社へ販売しており、
これまで消費者だった者が、生産者であり消費者になっています。
※3:電気量等の計量について、適切な計器による計量方法等が定められている
法律。
卒FITどこがお得?ふるさと納税も!
太陽光の固定価格買取制度で10年越えの発電所(一般家庭の屋根の太陽光含む)が
2019年から現れてきます。
それに伴い、各電力会社が買取プランを発表しつつあります。
関西電力、四国電力は溜めトクプランを発表。仮想蓄電池サービスで月3,000円ほどお得になる?ようです。セキスイハイムさん、積水ハウスさんの買取価格が高いですね。
約10円としても、1円の差が10%にあたりますから、12円となると20%も違います。
ふるさと納税として卒FIT電気を自治体に寄付できる仕組みも出来ました。
https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1904/25/news046.html
例えば月3,000円分の売電収入があるとして、年間36,000円。
仕組みは要調査ですが、36,000円分の寄付となると、和牛とビールのケース、日本酒、良質のコスメ、大阪の自治体のアマゾンギフト返礼率からすると
もの凄いインパクトな気もします。
・収入を軽減するのであれば所得税も減額?
・寄付金として地方税も次年度減額
全体のお得感は要チェックです。
ようやく電力自由化で面白いコンテンツが出てきました。
電気料金と電力システム改革の関係
日本の電力システム改革は、東日本大震災や原子力事故を契機に活発化しましたが、当初の必要性は図1の通りでした。④のニーズがどこまであるかは疑問ですが、『原子力に依存せず必要な時に電気を利用できるようにするというものです。
図1 電力システムの課題
上の課題に加え、二酸化炭素等の温室効果ガス排出量削減を目的として、再生可能エネルギーの固定価格買取制度などが導入され再生可能エネルギーが促進されています。②の電気料金の上昇も取組む課題の一つとなっていますが、再生可能エネルギーの導入促進と電気料金の抑制はトレードオフの関係があります。
電気料金の中には、「再生可能エネルギー促進賦課金」という項目があり、これは電力会社(小売会社)が電気を供給した使用者から使用量に応じて徴収することが法律で定められているものです。飛行機のサーチャージのようなものです。
この仕組みは2012年の1kWhあたり0.22円から開始され、2018年は2.64円と当初の10倍以上の価格となっており、2018年の賦課金の国民負担は2.4兆円となっています(図2)。一般家庭の電気料金は1kWhあたり2.4円程度なので、電気料金の内11%程度がこの支払いといえます(工場などは16%程度)。近い将来、賦課金は1kWhあたり3円を超えることが予想されます。
図2 再生可能エネルギー促進賦課金 国民負担の増大
再生可能エネルギーの導入が促進される一方で、国民負担は2030年に3.1兆円と計画されています。
石油や石炭等燃料の輸入を抑制し国富の流出を控えようという再生可能エネルギーの導入促進は個人的にも推進すべきと思いますが、その大義名分も、外資系ファンドが制度を利用し利益を上げることができるため、ある側面では外資系ファンドの利益を我々国民が強制的に負担するという構図と見ることもできます。
これがグローバルと言えばその通りですが、我々日本も外資金融に負けないような取り組みをしていかなければなりません。
家計の味方!かんたんにできる電気料金節約術。ここだけチェック!
今回は、まだまだもったいない家計の皆さんへの電気料金の節約術について。
「ホントに今より年間5千円も安くなるの?」
「電気って何か難しい。そもそも、理科苦手だったし。kW、kWhが嫌い。」
「わからないから皆んな騙されてるんじゃないか。」
的な方に朗報です。
言葉は理解していないくても大丈夫!私が保証します。
①ネットショップする感覚で手続きは10分くらい。
「毎月の電力会社の使用量おしらせ」を手元に用意し
②安くなるかネットで事前に確認できます。
こんなサイトもあります。価格コムでもやってますよ。
へ~、色々あるんだ~と眺めるのに10分。
電気代見直しNo.1サイト「エネチェンジ」 / 電気とガスのかんたん比較
③安くなるところならどこでもOKと割り切りましょう。
「ポイントが付いたり、セットだとお得とか、色々あってわからない。」
そうですよね。専門家の私ですら、どこが一番良いのかわかりません。
(調べたらわかりますけど、時間もかかるし、めんどくさいです。ころころ変わるし)。
ならば、今より安くなるなら一番安くなくても、そこそこで良いじゃないですか。
一般家庭の電気料金が半額になる会社はありません。
(よほど何か理由がない限り多分。)
なので、そこそこ安くなるならこだわらず、決めてしまう方が良いかと思います。
一番お得な会社はゆっくり探しましょう。
そもそも、どうせそこまで興味もないことなので、悩んでる間に忘れてしまいます。
しめて、20分で年間5,000円節約。時給15,000円のバイトですね。
しかも、何年間もだから結構大きいですよ。
東南アジアの再エネ投資環境 〜ベトナム現地突撃レポート 〜
固定価格買取制度の導入により、太陽光や風力等の再生可能エネルギー投資が活性化しているベトナムの発電所開発現場に突撃してきました。
ホーチミンから国内線に乗り継ぎ、そこから車で1時間程度。比較的海岸方面へ。ベトナムの太陽光と風力の建設中の発電所を視察してきました。太陽光、風力とも土地があるからか日本とは比較できない規模で開発が行われています。太陽光は数10MW~100MW以上の発電容量。概ね発電容量(kW)の10倍の面積(m2)ですから、100M=100,000kWだと、1,000,000m2=1km2。東京ドーム20個分の面積となります。
実際の工事写真は掲載できませんが、日本では信じられないほど短い納期で造成、架台製造、組み立てを1,000人規模のワーカーを投入し建設しています。日本の感覚だとホントにそんな納期でできるのか疑問も残りますが、道路工事等も決まったらものすごいスピードで完成するとのことなので、もし予定通り完成するのであれば凄いことだと思います。
太陽光パネルは残念ながら中国メーカー製、その他電気機器は欧米メーカーでした。事業性評価、許認可も十二分に行われ、年間の発電量は1kWあたり1,800kWh程度。日本は1,200kWh程度なので3割ほど発電量が有利です。また、熱帯雨林気候のため豪雨はありますが、台風はなく、地震のリスクもないため自然リスクは低そうと言えます。
やはり、海外の企業からの投資話もあるそうで、マイノリティーなら検討できるとのことでした。
今後の工事実際の発電実績についても見守っていきたいと思います。
東南アジアの再エネ投資環境 〜ベトナム再生可能エネルギー投資について 〜
東南アジアの投資環境、特に今回はベトナムの電力動向と再エネ投資についてまとめてみました。
日本の人口は2008年にピークを迎え人口減少に向かっていますが、発展途上国であるベトナムは人口が増加し、また経済政策により2015年~2017年の実質GDP成長率も6.5%と東南アジアでも最も成長している国です。
図1 日本とベトナムの人口推移
ベトナムでは、経済の成長に伴い、電力需要も著しく増加してきており、更に改訂第7次国家電力マスタープランでも2030年の発電設備容量を2020年の倍を計画しています。
図3 ベトナム国の総発電量(輸入含む)
そんな中、日本と同様ベトナムでも2011年から再生可能エネルギーの固定価格買取制度(通称FIT)が交付され施行されています。日本での太陽光発電のFITから数年遅れ、ベトナムの太陽光FITは2017年に交付され、また、風力の買取価格も2018年に値上げされています。これにより、ベトナム中南部を中心に大規模な太陽光発電所開発が活発化しています。今では批判も出ている日本でのFIT導入時の太陽光の買取価格42円(税込)と比較し、ベトナムの太陽光の買取価格は9.35USセントと日本円で10円程度となりますが、物価の違いをはじめ、太陽光パネルの価格低下や発電性能の向上、日射量が有利なことから年間利回りは10%以上が期待でき現在の低金利環境下で世界中から注目され投資も活発化しています。タイ、フィリピン等の東南アジアの諸外国からもベトナムへ投資が活発化していますが、他国に比べると日本からの投資があまり進んでいないようにも見受けられます。政府の許認可、土地の収用やベトナム電力公社との電力購入契約の交渉等、お国柄から難しい対応を迫られることもありますが、信頼出来る現地パートナーを確保できれば、ベトナムは東南アジアの中でも非常によい投資環境でもあるとも言えます。
人口減少社会に突入している今、日本も『ものづくり輸出産業国』から積極的に海外投資によるリターンを得る産業へ産業をシフトさせることに本気で取り組む時にきているとも言えます。
わかりずらく興味が湧かない電力会社の排出係数
電力会社がどれだけ石炭火力やガス火力発電などから電気を調達しているかの指標として、電力会社の排出係数というものがあります。
◆電気事業者別排出係数一覧
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/files/calc/h31_coefficient.pdf
これが、わかりずらい。一般消費者の方には、全くわからないでしょう。
環境志向の消費者の方は『環境にやさしい電気』が欲しいだけで、難しいのは困りますよね?
個人的には、調整後排出係数の一本化が、環境政策としては良いのではないかと思います。また、名前も、「実効排出係数」と変えたほうが良いです。
大きな工場や商業施設などは、「省エネ法※1」や「温対法※2」という法律によって、CO2排出量の報告や削減が求められていますが、お金を使ってでもそれに取り組む仕組みがあるからです。
しかし、基礎排出係数というものを残しているために、折角の企業が大事なお金を使って「CO2排出量をオフセット※3」しても、その努力がかすんでしまう状況となっています。
今、政府でも議論がなされていますが、基礎排出係数はしばらく残りそうです。
消費者にとって理解しやすいものへ、また、環境と業界の成長のために、是非見直しを期待します。
※1)省エネ法・・・「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の略称。工場・事業場及び運輸分野で一定の基準を満たす事業所は、定期報告と省エネ措置の実践が求められます。
※2)温対法・・・「地球温暖化対策推進法」の略称。一定以上の温室効果ガスを排出する事業所を所有する事業者は、温室効果ガスの排出量を毎年報告する義務が求められます。
※3)CO2排出量をオフセット・・・企業が排出した量は、どこかで削減した排出量とトレードする仕組みがあり、それをオフセットといいます。例えばAさんが自分の施設で、100t-CO2を排出したとして、Bさんが1,000から900まで100t-CO2を削減した場合、それを証明書化しAさんが購入することでAさんが100t-CO2を削減したとする取組みです。