電気料金と電力システム改革の関係

日本の電力システム改革は、東日本大震災原子力事故を契機に活発化しましたが、当初の必要性は図1の通りでした。④のニーズがどこまであるかは疑問ですが、『原子力に依存せず必要な時に電気を利用できるようにするというものです。

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出典:平成26年10月経済産業省

             図1 電力システムの課題

上の課題に加え、二酸化炭素等の温室効果ガス排出量削減を目的として、再生可能エネルギーの固定価格買取制度などが導入され再生可能エネルギーが促進されています。②の電気料金の上昇も取組む課題の一つとなっていますが、再生可能エネルギーの導入促進と電気料金の抑制はトレードオフの関係があります。

電気料金の中には、「再生可能エネルギー促進賦課金」という項目があり、これは電力会社(小売会社)が電気を供給した使用者から使用量に応じて徴収することが法律で定められているものです。飛行機のサーチャージのようなものです。

この仕組みは2012年の1kWhあたり0.22円から開始され、2018年は2.64円と当初の10倍以上の価格となっており、2018年の賦課金の国民負担は2.4兆円となっています(図2)。一般家庭の電気料金は1kWhあたり2.4円程度なので、電気料金の内11%程度がこの支払いといえます(工場などは16%程度)。近い将来、賦課金は1kWhあたり3円を超えることが予想されます。

 

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出典:2018年8月資源エネルギー庁

       図2 再生可能エネルギー促進賦課金 国民負担の増大

 

再生可能エネルギーの導入が促進される一方で、国民負担は2030年に3.1兆円と計画されています。

石油や石炭等燃料の輸入を抑制し国富の流出を控えようという再生可能エネルギーの導入促進は個人的にも推進すべきと思いますが、その大義名分も、外資系ファンドが制度を利用し利益を上げることができるため、ある側面では外資系ファンドの利益を我々国民が強制的に負担するという構図と見ることもできます。

これがグローバルと言えばその通りですが、我々日本も外資金融に負けないような取り組みをしていかなければなりません。