石油卸大手の決算

来週、国内石油卸大手の決算発表が行われます。

5/11 出光興産

5/12 ENEOS

5/13 コスモエネルギーHD

年始の国内LNG不足による発電量不足で電力各社はLNGをはじめ他燃料の高値掴みをしたようなので、石油卸大手は儲かっているのでは?とも考えられますが実際どうか。

しかし、原油価格が65ドルまで上昇し、LNG価格も上昇しています。

脱炭素が国際的に進められていますが、足元では化石燃料需要は強いようです。

OPECプラスの減産は緩和する見込みですが、化石燃料は現価格水準がしばらく継続でしょうか。

 

電力需給逼迫に伴う発電要請

電力需給逼迫が問題となっています。

電力広域的運営推進機関(広域機関)は、各電力会社へ発電要請を出しました。

2016年に電力小売自由化に伴い2015年に広域機関が発足されたから初めての事象。

原油価格は、新型コロナの影響で、一時20ドルを下回ったが6月以降は40ドル程度まで回復。

コロナの影響で石油卸各社の上期業績は低迷したが、今回の発電所への発電要請により石油の需要増加が見込まれる。3Qの回復に加え、今回の事象で4Qの業績は更に改善する可能性があります。

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図 原油価格推移 出典:新電力ネット

原油価格の推移(WTI/ブレント/ドバイ/OPECバスケット)|新電力ネット

 逆に小売電気事業者は、電力卸取引市場価格高騰により事業存続にも影響が出るレベルの事象であり、結局取引量が縮小した場合にウリ側の発電事業者や燃料事業者がメリットを享受する歪な市場構造となっています。中長期的には小売電気事業者間の公正な競争が阻まれるため、消費者のメリットが損なわれることも想定されます。歪んだ市場構造の改善が求められています。

 

卸電力取引市場高騰

年末から卸電力取引市場の価格高騰が続いている。日曜日は需要が低いにも係わらず150円で調達が取引されています。一般消費者への電気料金の販売単価は概ね20円強となるので、送る金額10円弱を加えて、小売電気事業者は、1kWhあたり20ー160=ー140円下に個人にマーケットが開かれていればと悔しくてならない。しかし、情報の逆ザヤになっています。1日の平均も90円の価格がついているので常に赤字となっています。

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図1:1月10日受け渡しのJEPXスポット取引価格 出典:JEPX

原因は、寒波による需要の増加と、LNG国内備蓄不足による発電所の出力低下と言われています。しかし、今年はラニーニャの予報があったのでLNG備蓄をしっかりとしておくべきでしたが、大手電力会社の発電会社は調達が十分にできませんでした。秋以降世界的にLNGプラントの故障が多発し北東アジアのLNGスポット価格が高騰。安い北米のLNGをもってこようにも船が不足という状況といわれていますが、異常な高騰なのでグループで発電所保有する大手電力会社が情報の非対称性を利用し自社グループに有利な対応をしているとも噂されています。恐らく体力の弱い小売電気事業者の倒産なども増加が予想されます。今回の事象で卸電力取引市場の未成熟さが露呈しましたので、構造的に改革し、公取の介入も含め一般投資家も参入する魅力的な市場へ成長して欲しいと思います。

とはいえ、未成熟な市場は一儲けのチャンスでもあるので、何かしら方法がないものかとも思います。 

日本初の民間電力取引所

デジタルグリッド社のプラットフォームをソニーが第一号ユーザーとなるようです。

https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/2011/17/news113.html

物理的に電気が混ざった後に仮想的に発電所と使用者を特定する仕組みづくりに投資が進んでいますが、消費者にはそこまでこだわりがないのが現状と思います。消費側が欲しがる物ではないのでが今のままでは流行らことはないと思います。しかしながら脱炭素は国際的に促進されていくことも必然なので、レジ袋のようなルールが電気の分野でも進んでいくと思われます。

そのような社会になったときに何が必要で成長産業となるか❗️考えて行きたいですね。

 

日本の洋上風力発電による国富流出

 

風力発電導入が日本で急速に加速していますが

世界大手の風力発電メーカーと折半出資会社を設立した三菱重工

製造をスコープから除外することになったようです。

再エネ促進は望ましいことですが、FITで最終的には電気を使う消費者がその投資費用を負担する仕組みなので

太陽光発電と同様風力分野でも外資製品の採用により

日本の富が海外へ流出しそうです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66153040S0A111C2X13000/

温暖化ガスゼロに向けて

バイデン氏が勝利し、米国も温暖化対策促進へ舵を切ることになりそうです。

日本も温暖化ガスゼロをうたっていましたが、米国の政権交代、方針転換で

温暖化ガスゼロに向けた取り組みが加速しそうです。

www.nikkei.com

 

企業にも温暖化ガスゼロが求められそうです。

現状企業は、①エネルギーの使用量を削減するか、②太陽光や風力などの

再生可能エネルギーで発電した電気を直接利用するか、③温暖化ガス排出量の権利を

買って削減するという3つの選択肢がありそうです。

電気やガスの使用者に負担をさせる税金のようなものなので③の場合には

費用が発生します。

お金で法令順守も勿論良いですが、あまり賢いとは言えないかもしれません。

太陽光や風力の発電所については発電した電気は販売しリターンを得ることも

できるので太陽光や風力の発電所にマイナー参画しリターンを得ながら

温暖化ガス削減も合わせて行うというような上の②でルールを順守する企業も

増えるかもしれません。

 

ベトナム太陽光セカンダリー市場

 ベトナムの経済成長は、コロナの影響で停滞したものの、社会主義の良い点が発揮され、人口1億人弱と日本よりも少し少ない人口ですが、感染者は1,000人、死者35人(https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/corona_information.html)と日本の60~70分の1程度の影響にとどまっており、GDP成長率も前年同期比1.8%(年間で2から3%程度)と日本のマイナス5.7%(http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2020/shin2005182.pdf)と比較してもコロナからの回復が早期に見込まれる国です。

  投資環境としても、ベトナム太陽光9.35USCのFITバブルも急拡しており、今年中の売電開始を期限としてFIT太陽光開発バブルも終了し、風力発電開発が活況となってきています。

一方で、系統容量不足による出力抑制も継続しているものの、日本同様稼働中の太陽光発電所を売買するFIT太陽光のセカンダリー市場も活発化してきています。

日本の商習慣だと信じられませんが、ベトナムは大企業でも元々、発電所の売却によるキャピタルゲインを想定したキャッシュフローを事業計画に盛り込んでおり、それにより急ピッチで事業規模、会社規模を急拡大しています。

事業規模が大きく開発のスピードも早いため、日本の商社、金融、電力会社などコンセンサスや保守的な説明を求めれる会社では、一部の会社を除きこのチャンスを掴めておらず置いてきぼりになっている状況です。

脱炭素の潮流と、コロナによる世界的な経済の縮小が今後始まることも予想される中で、利回り10%以上と環境と収益を両立するこのチャンスに日本企業も、もっと積極的に参画してはと思います。