東南アジアの再エネ投資環境 〜ベトナム再生可能エネルギー投資について 〜

東南アジアの投資環境、特に今回はベトナムの電力動向と再エネ投資についてまとめてみました。

日本の人口は2008年にピークを迎え人口減少に向かっていますが、発展途上国であるベトナムは人口が増加し、また経済政策により2015年~2017年の実質GDP成長率も6.5%と東南アジアでも最も成長している国です。

 

            図1 日本とベトナムの人口推移

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出典:世界経済のネタ帳

 

            図2 ベトナムの実質GDP推移

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出典:世界経済のネタ帳

 

ベトナムでは、経済の成長に伴い、電力需要も著しく増加してきており、更に改訂第7次国家電力マスタープランでも2030年の発電設備容量を2020年の倍を計画しています。

          図3 ベトナム国の総発電量(輸入含む)

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出典:ジェトロ

そんな中、日本と同様ベトナムでも2011年から再生可能エネルギーの固定価格買取制度(通称FIT)が交付され施行されています。日本での太陽光発電のFITから数年遅れ、ベトナムの太陽光FITは2017年に交付され、また、風力の買取価格も2018年に値上げされています。これにより、ベトナム中南部を中心に大規模な太陽光発電所開発が活発化しています。今では批判も出ている日本でのFIT導入時の太陽光の買取価格42円(税込)と比較し、ベトナムの太陽光の買取価格は9.35USセントと日本円で10円程度となりますが、物価の違いをはじめ、太陽光パネルの価格低下や発電性能の向上、日射量が有利なことから年間利回りは10%以上が期待でき現在の低金利環境下で世界中から注目され投資も活発化しています。タイ、フィリピン等の東南アジアの諸外国からもベトナムへ投資が活発化していますが、他国に比べると日本からの投資があまり進んでいないようにも見受けられます。政府の許認可、土地の収用やベトナム電力公社との電力購入契約の交渉等、お国柄から難しい対応を迫られることもありますが、信頼出来る現地パートナーを確保できれば、ベトナムは東南アジアの中でも非常によい投資環境でもあるとも言えます。

 

      図4 ベトナム再生可能エネルギー固定価格買取制度

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出典:ジェトロ

 人口減少社会に突入している今、日本も『ものづくり輸出産業国』から積極的に海外投資によるリターンを得る産業へ産業をシフトさせることに本気で取り組む時にきているとも言えます。