ベトナム太陽光・再エネFITの今

2017年11月に太陽光の固定価格買取制度の首相決定がされ、太陽光発電所の大規模投資が進んだベトナムの投資環境は今はどうなっているのでしょうか。

 太陽光発電風力発電は、自然エネルギーなので、太陽光は日中発電し、風力は風がふいている時間帯に発電します。つまり、太陽光は、日射量が多いほど、風力は一定レベルまでの風速や年中風が吹いているほど発電量が増え、収益も大きくなるわけです。

 一方で、電力は、系統(送配電網)につながっている需要と供給とを一致させる「同時同量」という管理が必要で、火力発電所の出力(発電量)を上げ下げして、系統の周波数(50Hzや60Hz)が一定範囲内におさまるよう管理しています(一定レベル外になると停電してしまいます)。

 本題に戻ると、ベトナムでは急速な太陽光発電所開発が進められていますが、その多くは日射量の多い中部から南部の田舎の未利用地で、元々は電気の需要(消費)が少ない地域です。先ほどの電力の需要と供給を一致させるという面からは、大量の発電した電力は、発電所の近辺では需要(消費)が小さいため、遠くの工業団地や都市部まで電気を送る必要がありますが、一部の省では、送電網の幹線までの送電線の増強が追いついていないため、発電量の100%を送電できず、太陽光発電所は、あえて出力を数10%抑制しているのが実情で、一部の発電所では、当初の予定収入から数10%減という状況となっています。国としては、更なる再生可能エネルギーの投入計画を進めているため、現在国をあげて送電線の増強も急ピッチで進められています。

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図1 太陽光発電開発容量推移 出典:EVNNLDC

 では、現在のベトナムの状況を投資という観点からは、どうとらえるべきか?いつ出力抑制が解除されるか不確定な状況ではあるものの、以下の理由から中長期的な視点では逆に良い投資環境ともとらえられます。

①コロナ禍で経済環境が大きく変化

②そうは言ってもFITで収入が読みやすい

③出力抑制分を考慮したM&Aの買収額とする

④現地企業はキャッシュニーズが強く買い手に有利

 外部環境変化、リスクを考慮し、高い買い物なのか、安い買い物なのかの判断となりますが、特にコロナにより社会構造が大きく変化する中では、もしかすると良い投資案件かもしれません。

 

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